技術解説
血中サルファ剤およびパスの定量
北村 元仕
1
,
有松 芳子
1
1日本専売公社東京病院検査科
pp.223-229
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905688
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薬物の血中濃度測定が日常臨床検査として行われることは比較的少いが,それでもプロム剤,バルビツール製剤,サリチル酸,サルファ剤などは臨床的にしばしばその測定が要求される。
このうちサルファ剤についていえば抗菌剤としての効果判定のため,抗生物質の感性試験と並んでその体液濃度の測定は臨床的にしばしば大切である。抗生物質を合理的に使用するために感性試験を行い,また結核化学療法剤の適正な使用のために耐性検査を行うことは今日すでに常識であるが,サルファ剤に対してはそのような配慮が極めて少い。それはもちろん,ペニシリンに端を発する抗生物質の華々しい登場とそれに引続く数多の優秀な抗生剤の普及によつてサルファ剤が治療面で以前ほど重要な役割を演じなくなつたことが第一の理由である。けれども,一方,ペニシリンシヨツクを始めとする抗生物質の重篤な副作用,あるいは厄介な耐性獲得の問題がクローズアツプされるとともに,このような問題の比較的少い安価なサルファ剤,とくにサルファイソキサゾールなどいわゆる高級サルファ剤の有効性が再検討されるに至り,その結果現在ではサルファメトキシピリダジン,サルファジメトキシン,サルファイソメゾールなどの持続性(長時間作用性)サルファ剤が相ついで市販されるに及んだ。
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