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I.はじめに
耳硬化症による,アブミ骨足板の固着に対し,1958年Shea1)がstapedectomyを行なつて聴力改善に成功して以来,stapedectomyがしだいに脚光を浴び一般に広く行なわれるようになつてきた。すなわち硬化病変のおよんだアブミ骨を取り除き,開窓口に種々の被覆材料をあて,かつこの組織とキヌタ骨長脚との間にprosthesisを挿入することにより伝音機構の修復をはかり,低下した聴力を元にもどそうとする試みである。
かようにアブミ骨に対する関心が高まるにつれ,耳硬化症以外にもアブミ骨の固着を生ずる症例の少なからず存在することが知られてきた2)。そしてこのような症例に対しても病変を十分吟味すればstapes surgeryが可能であることがわかつてきた。耳硬化症以外の症例に対して行なわれたstapedectomyの経験から,本手術施行に際して考慮されるべき術中,術後の諸問題に対して検討を加えてみた。
An experience of having peformed 10 stapedectomies in treatment of tympanosclerosis is reported with discussion of factors that may contribute to cause inner ear complications such as, infection, trauma. bleeding into the vestibule, bone dust, perilymph aspiration and toxicity derived from the cover material.
A carefully planned stapedectomy with more knowledge of Stapes surgery will minimize complications of the inner ear.
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