薬剤
急性および慢性副鼻腔炎に対する蛋白分解酵素Bromelainの果たす臨床的意義
岩沢 武彦
1
1札幌逓信病院耳鼻咽喉科
pp.165-177
発行日 1968年2月20日
Published Date 1968/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203916
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Ⅰ.緒言
蛋白分解酵素の抗炎症作用に関して1911年Baeznerは,Trypsinを癌患者に静注した結果,局所の炎症症状の改善とともに脚部浮腫の消退を始めて見出したが,当時不純な製品のため副作用も強く臨床的応用は広く普及するにいたらなかつた。その後1952年Innerfieldは,Trypsinの線維素溶解作用を期待して血栓性静脈炎患者74例に精製Trypsinを静注および筋注を行なつたさい,血栓の融解現象は起こらず,71例に血栓周囲の急性炎症症状の消失を認め,さらに彼は種々の原因による急性炎症性疾患538例に対して静注,筋注で94.3%の有効率を得て,急性炎症にいちじるしい臨床効果を示すことを確証した。
かくして蛋白分解酵素Trypsinは,強力な抗炎症作用,抗浮腫作用が認められ,さらにNorthrop,Kunitz(1935)らにより膵から結晶性Chymotrypsinが発見され,消炎酵素剤として広く臨床的に応用されるにいたつた。
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