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Ⅰ.緒言
慢性副鼻腔炎に対する保存的療法は,洞内の炎症性産物及び組織反応を寛解させる事が目的で,従来よりこのために種々の方法が,論ぜられている。最近の酵素化学の発達と共に,蛋白分解酵素が,慢性副鼻腔炎に応用される様になり,特にこの種の酵素剤の洞内局所注入やネブライザーによる治療を行なうと,滞溜した分泌物の排出に有効であり,症状が改善されることが,多くの人により既に報告されている。酵素剤として,Trypsin Chymo-Tyrpsin,Plasmin及びVaridase等が,耳鼻咽喉科疾患に使われ,局所的に用いられている。又内服剤として,長谷川,橋本及び藤崎等の報告したPronase-Pによる使用例が報告されている。今回内服剤として使用した蛋白分解酵素P-741は,主として,パイナップルの根幹果実に含まれる蛋白分解酵素であり,パイナップルの幹から抽出精製された植物性蛋白分解酵素Bromelainを主成分とする製剤である。このBromelainを主成分とするP-741の蛋白分解作用は,血管を閉塞しているフィブリン沈着物を溶解し,炎症過程を阻止して組織の治癒を増強すると思われているし,更に細菌膜,血管壁の透過性を高め,組織内の拡散を助長し,感染性炎症に対して,抗生物質,サルファ剤の病巣への作用をより増強的にすると云われている。この観点から,我々は,酵素剤P-741と抗生物質Erythrocinとを併用内服させ,その効果を,臨床成績,主に自覚症状と鼻内所見の上から判断してみたので,その結果をここに報告する。
このP-741錠は,1錠中に精製蛋白分解酵素Bromelain 50,000 Rorer(20mg)を含む,エンテリックコーティング錠であり,次の一般性状を呈すると云われている。即ち,
For treatment of chronic sinusitis, proteinase P-741 was administered in 22 cases daily for the period of 1 month; with the initial 7 days supplemented by administration of antibiotics. Improvement by subjective symptoms was marked in 18 patients, 81.18%. Improvement by clinical examination was seen in 15 cases, 68.2%. No change was seen in 7 patienst, 31.8%.
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