薬剤
耳鼻科領域疾患にアンジニンを使用してみて
三島 憲
1
1市立岡崎病院耳鼻咽喉科
pp.657-660
発行日 1967年6月20日
Published Date 1967/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203791
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I.はじめに
アンジニンは抗キニン剤であるといわれている。簡単にいつてその作用は脳,心臓など身体の重要諸臓器において静脈の過度の攣縮によるうつ血状態を寛解せしめるものであるとされている。また炎症や悪性腫瘍組織中においても,キニン発生によつて静脈の攣縮の結果,疼痛,腫脹,化膿,出血を来たすことが知られており,このことからして,この種キニン剤は抗炎症作用も論じられてきている。
他方,われわれの耳鼻科領域における感音系難聴症や,主として内耳血管系に原因を求むべき内耳障害とみられる難聴,耳鳴,眩暈などの諸症状またはメニエール氏病,さらにその他の原因による耳鳴症などの根本に横わる問題として椎骨脳底動脈系の動脈硬化またはその前駆症の存在による血行障害を考えない訳にはゆかないのである。
この点からして私はただ今挙げたような疾患にこの抗キニン剤,アンジニンを応用してみると共に,その抗炎症作用も老えて,一,二の嗅覚障害症にも試みてみたのである。
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