頸部・副鼻腔炎症の頭蓋内合併症症例

INTRA-CEREBRAL COMPLICATION OF CERVICAL AND SINUS INFLAMMATION

　I．はじめに

　耳鼻・副鼻腔疾患の合併症は，近年のめざましい薬剤の進歩によりその治癒率は著しく向上し，早期発見，早期治療によりときには非観血的療法で全治せしめうることもある。

　しかし長期間化学療法などの投与を受けている時には，耐性菌の出現，菌交代症なども考慮して合併症がおこりうる可能性を忘却してはならない。さらにステロイドホルモンを使用したときは，緑膿菌，変形菌，真菌症感染についての注意も怠つてはならない。筆者らは先に耳性合併症（頭蓋内合併症3例と頭蓋外合併症1例）を報告したが，最近静脈洞血栓症と鼻性髄膜炎を経験したのでその大要を述べてみたい。

　A case of venous thrombosis a complication arising from inflammation of the cervical artery and a case of cerebral meningitis from nasal origin were, both, successfully treated by means of intravenous administration of pilocycline-N.