海外の文献より
聴能訓練
大塚 明敏
pp.432
発行日 1967年4月20日
Published Date 1967/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203763
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1954年のVolta Reviewに聴覚利用に関する討論がでている。この中から聴能訓練に関するものをみると,結論としてはなるべく早期に,たとえ高度難聴でも補聴器を使つて訓練するのがよいということになる。
小学校の子供について調べると,ことばのの了解の量は装用した時間8時間以上と以内の2つに分けてみると,装用時間に関係がなかつた(Weaver)とい)。聴能訓練は幼児の言語習得期から行なう方が効果がある(Wedenberg)。この時に使う補聴器はHiFiの方がよく,高度難聴でも言語知覚が改善される(Hudgins)という。また高度の聴力障害でも聴能訓練は効果がある(Hopkins)というが,12名の訓練の結果自発的に話すようになつたのは障害が60dBの聴力を持つた8人で,他の4人は話すようにならず,聴力障害は80dBであつた(Louis)。これらから聴力損失80dB以上は補聴器利用に限界があるという意見もある。聴能訓練を行なう時には日常生活経験に附随する聴覚刺激を重視し,音に対する意識,好奇心,さらに必要なのは聴くことが楽しいような方法で訓練することを心掛けねばならない。このような態度ができたら,類似語の弁別,アクセント,リズムパターン,抑揚の認知,いろいろな場面の中で理解語に反応することができるように進めてゆく。要するに聴能訓練はコミュニーケーションの手段として話しことばや他の音を理解し,使えるようなプログラムを第一の目的とせねばならない。
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