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I.はじめに
喉頭肉腫はきわめてまれな疾患であり,内外諸家の統計によると喉頭癌のほぼ1/100の発生頻度である1)-13)。しかもその多くは細網肉腫,線維肉腫,多形細胞肉腫,紡錘形細胞肉腫などであつて,平滑筋肉腫はこれらのものよりさらに少なく,われわれの捗猟した内外文献によると,本邦では折井・斉藤(1955)14)と,宮本・中村(1957)15)の報告例の2例を算えるのみであり,外国文献上でもFrank, D. I.(1941)16),Manara, E.(1959)ら17)-20)の5例の報告をみるにすぎない。
ここに報告する症例は,過去10数回の試切をうけ,ポリープ,あるいは乳頭腫の診断のもとに加療をつづけていたが,最後の試切で癌の診断をうけ,喉頭全摘出術を施行,術後1年余の後に頸部リンパ節転移ならびに広範なる臓器転移をきたしたもので,剖検上はじめて平滑筋肉腫の診断を得た症例であり,ここにこのまれな症例を追加するとともに,その特異な診断の経緯さらに広範な臓器転移の発現といつたいろいろの点で興味ある症例と思われるのでその大要を報告する。
Autopsy report on a case of laryngeal leiomyosarcoma is made with review of literature on reports of similar cases. This condition is rather rare in occurrence, there were only 8 cases so far reported. The methods of diagnosis and treatment are discussed.
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