増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
脳脊髄
各論
頭蓋底(眼窩,副鼻腔を含む)
酒井 修
1
,
藤田 晃史
1
1自治医科大学放射線医学教室
pp.94-100
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908368
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はじめに
頭蓋底は,狭い領域ながら解剖は複雑で,直接肉眼的に観察できないこともあり,多くの臨床医にとって馴染みが少ない領域の一つかもしれない.頭蓋底は,単に“頭蓋の底”で脳を支えるものだが,頭蓋内と頭蓋外の境界で脳神経および脊髄が頭蓋外に出るとき,また脳を栄養する血管が頭蓋内に入るときに必ず通らなければならない領域で,臨床的にきわめて重要である.この領域の病変の多くは脳神経の異常として認められるが,頭蓋底自体は骨であり,多彩な骨・骨髄疾患も生じる.画像診断による頭蓋底病変の存在診断,広がり診断は特に手術前評価ではきわめて重要である.以前は手術不能だったが,最近では手術可能となっている領域も多く,CT,MRIによる画像診断は病変の正確な位置,術中に重要なランドマークとの関係などについて術前に有用な情報を提供でき,治療方針に大きな影響を与える1〜3).
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