Japanese
English
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学童にみられた心因性難聴
PSYCHOGENIC HEARING IMPAIRMENT IN YOUNG CHILDREN
中村 賢二
1
,
切替 一郎
2
,
富沢 正雄
2
,
設楽 哲也
2
Kenji Nakamura
1
1三楽病院
2東大耳鼻科
pp.25-31
発行日 1967年1月20日
Published Date 1967/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203713
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I.はじめに
近時,精神医学の発達により,器質的変化を伴わない,いわゆる心因による疾患が注目されてきた。
古来,精神と身体の問題はHippocratesの時代から論議されていたが,19世紀後半にいたりCharcotによつて,ヒステリーの身体症状が中枢神経系の器質的障害に対応するものでなく,精神的原因にもとづくことがみとめられ心因の重要性が強調された。その後,第二次大戦中における数多くの経験から,精神的因子が身体疾患の発病,症状,経過などと密接な関係にあることが確認されてきている。
このように,器質的障害によらない神経症候として耳鼻咽喉科領域にみられるものには嗅覚障害,顔面知覚障害,顎運動障害,味覚障害,聴覚障害,前庭機能障害,構音発声障害,舌運動障害,嚥下障害などがある。
今回われわれは,求心性視野狭窄を伴なつたヒステリー難聴の2学童例を経験したのでここに報告する。
Two cases of psychogenic hearing impairment in young children were reported.
It is characteristic that both cases showed the concentric defect of the visual field and the discrepansy between the apparent auditory ability and audiometrical result.
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