Japanese
English
特集 女性と耳鼻咽喉科疾患
1.心因性難聴
1.Psychogenic deafness
工藤 典代
1
Fumiyo Kudo
1
1千葉県立衛生短期大学栄養学科
pp.287-291
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101229
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Ⅰ.はじめに
この20年来,発症の増加が指摘されている小児心因性難聴は学校保健の面からも検討がなされ,2000年には耳鼻咽喉科学校医のための対応指針が出されている1)。報告の多くが小児例であるために,心因性難聴は小児特有のものと考えられがちである。しかし,以前は心因性難聴が『ヒステリー性難聴』と呼ばれていたように,小児の発症は稀で成人女性が心因反応を生じて発症するとみられていた。このように小児も含め,一般に周知されるようになってからも発症は女性に多いことが明らかになっている。
医学でいう『ヒステリー』は神経症の1型であり,器質性疾患はなく非器質性疾患である。語源は女性に特有と考えられていたことから『子宮』を意味する古代ギリシア語から名づけられている。心因症状である『ヒステリー』は現在では解離性障害と転換性障害の2つに分けられている。心因性難聴は転換性障害に当たり,心理的なストレスを身体症状として出現したものである。ここでは心因性難聴の症例を呈示し,その診療について述べる。
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