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Ⅰ.はじめに
涙嚢炎は鼻涙管の狭窄による二次的感染によるものが多く,その原因が鼻または副鼻腔の病変による場合もあるが,現在では鼻科領域で臨床の対象としてほとんどかえりみられていない。涙嚢炎の手術的治療法としても鼻科学的な立場から考案されたWest-Halle,Veis-clausなどの方法が報告されているが,現在ではもっぱら眼科的な立場から主として涙嚢摘出術またはToti法あるいはその変法であるDupuy-Dutemps法の鼻涙管成形術が行なわれている。
これらの方法によって好結果を得られることもあるが,なおいろいろ難点を有し,涙嚢炎は手術的治癒のきわめて困難な疾患と見なされている。この点を考慮しさらにこれまでの術式の欠点を補うべく後藤敏郎教授1)2)3)は鼻科学的な立場から涙嚢を篩骨洞に連絡せしめる手術法を考案した。この方法についてはすでに亀本4),井上5)らの報告もみられるが,著者は最近交通事故のため鼻根部に強打を受け,鼻涙管の閉塞をきたして涙嚢炎を併発した症例および副鼻腔手術後に慢性涙嚢炎を起した症例についてこの手術を施行して好結果を得たので報告する。
Dacrocystorhinostomy is performed in cases to relieve obstructed tear-flow caused by dacrocystitis with consequent constriction of the lacrymal duct.
The author's method of performing this type operation leads the newly formed lacrymal duct into the ethmoid cavity. The results are reported to be excellent.
The advantages as well as disadvantages of this type of operations are discussed.
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