Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
科学文明の高度に進歩,発展した現代生活の複雑多岐化によつて,われわれは日常直接,間接にいわゆる"ストレス"による精神的,肉体的影響を蒙りながら生活を営んでいる。とくに近年はこのストレスの加重による不安,緊張が原因であると考えられる精神身体症的疾患が注目され,その原因の追究と共に治療面においても幾多の研究が行なわれている。わが耳鼻咽喉科領域においても,精神身体症,自律神経失調症的な訴えを伴つた疾患で来院する患者は数多く,その治療に困惑することが多い。このような患者に対する薬物療法についても,かつては単なる鎮静剤を用いていたが,1950年chlorpromazineが合成され,翌年これが人工冬眠に応用されて以来,向精神性薬剤は急激に進歩し,各種のTranquilizerの出現に至つている。ところで今回,従来のものとは,化学的にも薬理学的にも異なつた新しい精神身体調整剤Piazepam(Cercine)が出現し,その試供を受けたので,これを主としてメニエル症候群,神経性難聴(耳鳴),咽喉頭神経症などに使用する機会を得た。症例は少数ながら,ここにその臨床効果を報告する次第である。
In 27 cases of various psychosomatic complaints such as Meniere's disease, nerve deafness with tinnitus aurium, abnormal laryngopharyngeal sensations and post-traumatic symptoms of head injury, Cercine was administered either, alone or in combination with other drugs: the agent appeared to be effective in 70.4% of cases in allaying the symptoms. Slight side-effects were noted by manifestation nausea, vomitting, vertigo and chill and fever.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.