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I.はじめに
現在までに皮膚科臨床上に使用されている蛋白分解酵素にはTypsin,Plasmin,Pepsin,Streptokinase,Streptodornase,Collagenase,Ficin,Nagase,Pronase,Bromelain,Kallikrein等々があり,主として潰瘍性病変にたいしてその壊死性物質を除去して清浄化をはかり,治癒を促進せんとの目的に局所的に用いられてきたのである。
しかし最近,Pronase,Bromelain,Chimotrypsin,Kallikreinは経口的投与でも失活しないということからアレルギー反応の感作,惹起の危険性の少ない経口投与療法が諸家の関心をあつめるにいたつた。一方,これ等の蛋白分解酵素は蛋白質であり,経腸管的に使用するには栄養学の教えるごとくアミノ酸にまで分解せられて酵素活性を失うのではないかとの危惧の念がある。この問題に就てはInnerfield(1961)は種々の蛋白分解酵素の経口投与によってPlasma Antithrombin値の上昇のみられたことから経口投与によつてもその活性は保持されるものとしている。またKabacoff(1963)も,Chimotrypsin投与家兎の血漿に合成基質を分解する能力のあることを認めている。またMartin等(1962),Cirelli等(1963),Seligman(1962)もBromelainについて基礎的並びに臨床的に活性が保持されたままで腸管から吸収されることを認めている。この活性保持の機構はKabacoffによると酵素がそのままの形で腸管を通過するとしているが,一方Innerfield等は蛋白分解酵素も吸収されるが,それは一部分であつて,活性中心は保護されて無変化のまま吸収されるとしている。いずれにしても現在では蛋白分解酵素の幾つかのものは経口投与によつても活性が可成り保持されるという事実は殆ど疑問の余地がない。
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