Japanese
English
薬剤
更年期障害および閉経後自律神経症に対するインシドンの使用経験
Experience with Insidon in climacteric disorders and postmenopansal vegetative neurosis
唐沢 陽介
1
,
塚田 正
1
Yosuke Karasawa
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.155-159
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203225
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はじめに
婦人に見られる自律神経症は,心因性自律神経症を除けば,その大多数はいわゆる内分泌失調と密接なる関係を持つていると考えられている。女性特有の性機能の周期的変動に応じて,自律神経系もまた一定の律動を有していることも周知の通りである。したがつて,男性に比較して容易にその平衡を失し,病的状態に陥り易い。とくに,女性の内分泌系に顕著な変化が起こるところの思春期,月経期,月経前期,妊娠,産褥,去勢,更年期,閉経後等には好んで自律神経症が発現し,患者を苦しめるこことになるのである。
したがつて,婦人の自律神経症の治療法としては,いわゆる自律神経安定剤,鎮静剤の投与と共に各種のホルモン製剤投与が好んで行なわれているのである。すなわち,更年期障害のように,内分泌的内部環境の変化が,大きな比重を占めると見なされる場合には,ホルモンの投与が一応主体をなし,自律神経失調が表面に出て,誘因と考えられる流産,分娩,去勢,閉経等がかなり前のこととなるような例に対しては,むしろ自律神経に対する薬剤の使用が望ましいと論ずるものもいる。また婦人の自律神経症が心因的なものに支配され易いことはいなめない事実だから,精神安定剤的なものも大きな意味を持つことが少なくないといわれている。
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