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Ⅰ.緒言
小児慢性副鼻腔炎は日常の臨床において数多く取り扱かわれる疾患の一つであるが,これに対して従来おこなわれている治療法は,あるいは高価な治療器具を必要とし,あるいは治療操作が著しく複雑であり,あるいは患児に若干でも苦痛をあたえ反覆治療が拒否されるなどの点において,満足できる段階に達していない。本疾患に対しては手術的療法がきわめて有意義であることが名越1),鈴木2)氏らによつて示されたが,一般の臨床においては全身麻酔その他複雑な操作を必要とする根治手術は勿論のこと,副鼻腔穿刺洗滌法ですらおこない難い場合が多い。したがつて診療の方針としては患児に苦痛をあたえず,しかも外来診療の間に簡単に実施ができ,効果の十分に期待できる保存的療法の出現が望まれているところである。
著者は酢酸デキサメサゾン懸濁液,硝酸ナファゾリン液,複合ストレプトマイシン溶液の混合液のネブライザーによる局所投与と,サルファジメトキシン,マレイン酸クロルフェニラミンの内服による全身投与とを併行しておこない,学童および幼児の慢性副鼻腔炎の治療を試みたところ,所期の効果のあることが認められたので報告したい。
For treatment of sinusitis in children the author employed a combined therapy of neb-ulizer and medication by mouth. Such a trea-tment is economical, easy to administer and least suffering on the part of the little patie-nts. These treatments are highly effective in children who are in the age group of pre-and school. When the effectivity is compared be-tween age group above and below 12 the lesser ones are more marked.
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