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メマイや平衡機能障害の患者の診断に当つては,詳細な問診がまず必要である。これについてはすでに問診の項で詳述した1)。成書にみる通り前庭機能検査法の種類は多く,しかも年々新しい検査法が提案されるなど,実地臨床にあたるものはその採択に迷う有様である。詳しい問診をおこない,さらにその裏付けとなる諸種の検査をおこなつて,正しい結論に達するためには,多少なりとも検査法全般にわたる知識が要求されるし,個個の検査法について,その特徴を知つていなければならない。しかし日常の外来検査には必ずしも前庭平衡機能検査と名のつくすべてを必要とするわけではない。ここに参考のために東大病院耳鼻咽喉科前庭外来において,スタンダードの外来検査として日常おこなつている検査法について,その概略を示し,説明をこころみることにした。近ごろ進歩した検査法については,ややくわしく説明した。実際にあたつては,これらのうちから適当に選択して重点的に検査をおこなうことになる。
前庭平衡機能検査をおこなう上に,是非とも心得ておかなければならないことは,代償機能の存在である。一つの系統の障害は,その系統の中の代償だけでなく,他の系統によつても逐次代償され,一見障害を認めないような状態にまで回復することである。前庭平衡機能検査は,したがつて一つの機能について分析的であると同時に,有機的,統合的でなければ,その状態の全貌をつかんでいるとは云えない。
In order to attain a just conclusion in the vestibular functional examination, it must be performed systematically as well as with a scope of a wide viewpoint. The exami-ner should be well familiar with advantages recognized in each of various methods of functional tests and, depending on the object and circumstances of each individual case that may be presented, the results should be jud-ged by means of a selective method. Nys-tagmus test is most sensative; especially, electronystagmography seems to be the most reliable of these tests.
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