特集 出血と止血
I.総論
2.出血及び止血の測定法
c.凝固因子
松岡 松三
1
1信州大学内科
pp.288-294
発行日 1961年4月20日
Published Date 1961/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202647
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I.はじめに
血液凝固の研究は従来は主として出血性素因の解明とこれに関連した止血機構について行われてきたのであるが,最近は血栓症の発生,動脈硬化の発現に関して血液凝固が重要な役割を有しているのであろうと考えられるようになり,血液凝固の生物学において占める役割の範囲は一段と広くなつてきている。
血液凝固の研究はこの10数年間に著しく進歩し,新しい因子が次々と発見されている。それらの新しい因子はすべてそれが先天性に欠乏し,そのために出血を来した疾患の存在によつて明らかにされたもので,単なる仮説ではないのであるが,発見者がそれぞれちがつた名称を与えているため一つの因子にいくつかの同義語があるので,ますます理解を困難にしているのである。そこで今日国際的にみとめられている凝固因子について,これを凝固の各相に分けてその作用,性質,臨床上の意味等について簡単に述べて見たいと思う。
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