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鼻科領域でのMetoronの試用経験(第2報)
大藤 敏三
1
,
平野 一弥
1
,
中嶋 紹治
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.185-193
発行日 1961年2月20日
Published Date 1961/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202626
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I.緒言
さきに吾々は雑誌耳鼻咽喉科32巻9号に「鼻科領域でのMetoronの実験例と題して,本剤が従来の抗ヒスタミン剤に比し」催眠,興奮・毒性等等の日常臨床上の不快の副作用が全くなく,非常に効果的であつた試用経験の第1報を報告したが今回は其の後の経過観察,並びに本剤の局所用製品の試用経験等につき報告する次第である。
Metoronの化学,薬理作用については第1報に詳述したので詳細は省略するが,要約するに本剤の薬理作用は,(1)気管支拡張作用はエフェドリンの10倍で,オルソキシン・メチルエフェドリンより強力である。(2)抗ヒスタミン作用はエフェドリン・メチルエフェドリン・オルソキシンより強力である。(3)鎮痙作用はエフェドリンと略同等。(4)アドレナリン・エフェドリン等と異なり,血圧上昇作用はない。そしてオルソキシンと類似し,若干降下の傾向を示す。アドレナリン・エフェドリン・イソプロテノールの如き心臓刺激作用はない。過量ではオルソキシン類似の抑制傾向を示す。(5)ヒスタミンショック防止効果はエフェドリン・オルソキシンより強力である。(6)瞳孔・唾液分泌等自律神経系に及ぼす影響は微弱である。(7)中枢神経系に対する影響も少く,薬用量で興奮・催眠ともにみられない。(8)毛細血管透過性低下作用は,ベナドリル・エフェドリン・オルソキシン・アドレノクロム製剤・ルチン製剤より強力である。(9)アドレナリン・エフェドリン類似の止血作用を有す。(10)毒性はエフェドリンとベナドリルの略中間で,薬用量では全くみられない。
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