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視力障害を主訴とする副鼻腔炎—第1編 著者自身が患者としての経験
斎藤 芳郎
1
1済生会神奈川県病院
pp.61-63
発行日 1961年1月20日
Published Date 1961/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202601
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I.はしがき
視力障害を主訴とする患者は先ず眼科外来を訪れるのが普通であつて,我々耳鼻咽喉科を直接に訪れる事は稀なことと云い得る。
眼科医より視力障害の原因が鼻性のものであると推定診断のもとに耳鼻咽喉科医に依頼される疾患のうち最も多いのは所謂鼻性視神経炎であり,これは耳鼻科医が特に注意を要するものである。即ち鼻性視神経炎の病名の如く,鼻科的処置によるアドレナリン塗布,鼻洗浄,上顎洞穿刺,副鼻腔洗浄等に於いても視神経症状の軽減をみる事が却つて観血的処置の時期を遅らし,視神経炎の増悪を来たし,更に視神経萎縮を招き失明の大事に至るからである。又非観血的に処置する場合,視力の好転を認めるまでには相当の期間を要するし,そのような場合には患者自身にしても副鼻腔の変化よりも視力障害が直接に精神的に影響するところが大であり不安を感ずることは甚しいものである。私自身20余年前,視力障害を訴え,某眼科医による鼻性視神経炎の診断のもとに,某耳鼻科医により早期の副鼻腔の手術的処置により全治の喜びを得た経験があるので,ここに報告し諸賢の参考とし御批判を仰ぎたいと思う次第である。
The author from his own experience as himself as the patient advocates surgical treatment of sinusitis which is considered as the etiology of ocular disturbances particularly the sight.
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