耳性帶状疱疹

　I．緒言

　耳部にヘルペスを有し，顔面神経麻痺，聴神経及び前庭神経麻痺の主要症状を伴う疾患をKörner（1904）はHerpes zoster oticusと名づけて独立疾患とした。其の後本疾患の報告は多数あり，本邦に於ては昭和5年佐藤教授の報告が最初のものである。以来相当数の報告があるが，私達が本邦文献中より渉猟した範囲では昭和18年高橋，藤井（大阪）両氏の統計25例以後昭和33年迄に22例を数えるのみであり，報告された範囲では比較的稀なものと云う事が出来る。

　私達は最近，本症と思われる症例3例を経験したのでここに報告し，併せて本邦文献中に見られる47例に私達の3例を加えて統計的観察を行つたので報告する次第である。

Three cases of herpes zoster ranging in ages of the patients from 7 to 20 are repor-ted. These patients were affected with sy-mptoms of paralysis of the face, ear pain and vessicular dermal manifestations. The lite-rature on this subject is reviewed and discu-ssed.