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抗生物質が誘因と思われる帶状疱疹の症例
平山 芳
1
,
笹尾 信
1
1東京慈惠會醫科大學皮膚科學教室
pp.522-524
発行日 1953年9月1日
Published Date 1953/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201033
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緒言
帶状疱疹Herpes Zoster,が一種の傳染性疾患であると言うことは既に古くより其の臨床的並に疫學的觀察に基づき,Landouzy(1883),Erb(1885),Kaposi(1888)諸氏が唱えた處であつた。其の後尚多數の學者即ちAudry,BascompteBókay,Debrsy,Pick,Wasiliewski等諸氏も亦これを追認しているのである。然し現今脊髄神經節,脊髄後根乃至ガッセル氏神經節に出血性炎症神經細胞の變性,破壊等の病變が認められ,これ等は濾過性病源體である帶状疱疹病毒Zostervirusに因るものと想定している一方脊髄疾患,白血病,肺炎等,或は砒素劑,水銀,蒼鉛等の中毒が誘因となつて本症を惹起することがある事は古くより知られておつた事は衆知のことである。吾々は偶々帶状疱疹にも有效であるペニシリン,オーレオマイシンを他の疾患の治療の目的で注射及經口投與した際ペニシリン,オーレオマイシンにより誘發されたと思われる症例を經驗したので其の症例の大要を報告し,併せて本症の誘因に就き些か考察を加えたいと思う。
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