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咽後膿瘍を伴つた幼児原発性ベツオルド乳様突起炎の1例
国本 鎮雄
1
,
四倉 喜美子
1
,
国分 昇
1
,
東郷 美代
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.359-361
発行日 1960年5月20日
Published Date 1960/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202440
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I.緒言
中耳に明らかな炎症症状を伴わないで起る急性乳様突起炎が稀に見られ,これに対して原発性又は特発性乳様突起炎(Webster),原発性乳様突起膿瘍(Salinger),非穿孔性潜伏性乳様突起炎(Aloin),あるいは中耳炎症状を伴わざる乳様突起炎(Hempatead)とか,「耳漏を伴わない」,「潜伏性」,「隠れたる」,「二次的」乳様突起炎等の種々なる名称が附けられている。又この原発性乳様突起炎の主なる原因としては,直達性外傷,壮年以上の人に見られるムコーズス菌によるもの若年者に見られる主として双球菌ブドウ状球菌によるもの等が挙げられている。
しかし各種抗生物質,化学療法剤の発達した今日では定型的急性乳様突起さえ珍らしく,このような原発性乳様突起炎は稀なものと云えよう。我々は原発性乳様突起炎が深部型ベツオルド乳様突起炎が深部型ベツオルド乳様突起炎として副咽頭間隙膿瘍を形成し,さらに咽後膿瘍をも併発した極めて稀な症例に遭遇したので此所に報告する。
An infant girl, aged I year and 10 months, developed Bezold's abcess concommitant to acute pharyngitis. The patient recovered un-eventfully following incision and drainage of the abcess.
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