増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール
部位別診断法
Ⅰ.耳・側頭骨
急性中耳炎と急性乳様突起炎
新鍋 晶浩
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科
pp.28-31
発行日 2014年4月30日
Published Date 2014/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102804
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画像診断の狙い
急性中耳炎は,鼻咽腔の感染が耳管および鼓室内へと波及した結果生じる。鼓膜所見で重症度も含めた診断ができること,細菌検査および適切な抗菌薬の選択により治癒に至る症例が多いことから,急性中耳炎に対して画像検査を行う機会は少ない。しかしながら,外耳道狭窄,鼓膜の硬化病変などの何らかの理由で中耳内貯留液の評価が困難な症例,顔面神経麻痺や急性乳様突起炎など中耳炎による重篤な合併症が生じた症例に対し,側頭骨ターゲットCTを行うことがある。特に小児における放射線被曝の影響は十分に認識しておかなければならない1)が,急性中耳炎の重症例は2歳未満の乳幼児に好発し,診断の遅れは頭蓋内合併症のような重篤な合併症へとつながる危険性がある。
急性乳様突起炎は,耳介後方の皮膚の発赤腫脹,耳介聳立という特徴的な局所所見を伴う。治療は抗菌薬投与および膿瘍ドレナージであり,鼓膜切開,鼓膜換気チューブ留置,あるいは乳突削開術といった外科的治療法を選択する際に,同じく側頭骨ターゲットCTによる評価が重要になる。また,隠蔽性乳様突起炎という鼓膜所見に乏しい乳様突起炎も存在するため,鼓膜所見に異常がみられない場合でも外耳道後壁や耳介後方の皮膚発赤腫脹,耳介聳立の有無を確認し,疑わしい場合には側頭骨ターゲットCTを考慮すべきである。
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