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内耳性難聴耳鳴に対する薬剤治療経験例
桜井 正夫
1
,
石川 次郎
1
1岩見沢市立総合病院耳鼻科
pp.81-85
発行日 1960年1月20日
Published Date 1960/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202383
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I.緒言
古来耳鳴に関する報告は数多く枚挙にいとまがないが,最近,オージオロギーの発達と共に徐々に内耳機能の生理学的,病理学的状態も解明されつつあるとは言え,尚耳鳴,内耳性難聴の本体,成因,分類等も一致した根本的説のない現実である。各種耳疾患に於て耳鳴,難聴は極めて一般的の症状であり,多くは原因疾患の消退と共に消失,回復するのであるが屡々耳鳴,難聴の長期間残存する事が稀でなく,又何等原因疾患なくして耳鳴難聴を来す事があり,最近に於ては,ストマイ注射の中毒症状として重要視されて来ている。以上の如く耳鳴,内耳性難聴は耳鼻科医の屡々遭遇する症例であるが,これの治療はその本体,病態の根本的説のない大部分未解決の分野であり,且非常に複雑な成因と多元的な性質を有する事が推定され,その治療の困難な事は吾々の常に経験する所であるが,今回吾々は,学理的,経験的推測により効果ありと発表され,使用されて来た各種薬剤を配合し,その綜合的効果を期待し,次の如き合剤を使用し,耳鳴の変動,聴力像の変動を追究してみた。
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