連載 内科医のための 耳・鼻・のどの診かた・1【新連載】
難聴・耳鳴
石丸 裕康
1
,
高北 晋一
2
1天理よろづ相談所病院総合診療教育部・救急診療部
2耳鼻咽喉科 たかきたクリニック
pp.358-361
発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224619
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はじめに
内科外来の特徴の1つは,患者から多様な(時に内科の範疇を越えた)問題がもちこまれてくることにある.誰に相談するべきか,どこを受診すればよいのかわからない問題は,とりあえず内科外来で相談されやすい.一方で,内科医の通常のトレーニング過程では耳鼻科的な症状に対する十分な対応方法を学んでいるとはいいがたい.耳・鼻・のどの訴えがあると「それは耳鼻科に行って診てもらって」と言ってしまいがちである.しかし,患者は完璧なマネジメントを期待しているわけでなく,それが受診すべき問題なのかどうか,受診する必要があるなら,いつ,どこを受診するのかをアドバイスしてほしいから相談するのである.地域にもよるが,幸いにも日本では耳鼻咽喉科領域のプライマリ・ケアを行う開業医の先生方も多く,高度なスキルを身につけなくても,適切な協働によって質の高いケアを提供しうると考えられる.
そのような観点から本連載では,耳鼻咽喉科医のようなマネジメントができることを目標にするのでなく,患者の訴えにまず向き合い,上手に相談に乗り,診療をガイドするためにはどのようにすればよいか,ということを考えることを目標に,内科医にとって必要な耳鼻咽喉科の知識・スキルをまとめていきたい.具体的には,まず内科医が特殊な診療スキルを使わなくてもできる患者評価のポイントを解説し,そのうえで,プライマリ・ケアの現場の経験豊富な耳鼻咽喉科医から診療へのアドバイス,スキルアップへのポイントを示すような構成としている.本連載が内科医の診療の幅を少し広げ,より良い診療連携の一助となれば幸いである.
第1回では,大変コモンな訴えである「難聴・耳鳴」を取り上げる.
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