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高橋(研三)式鼻内整形手術に就いて(第1報)
西端 驥一
1
1慶応大学
pp.344-348
発行日 1959年5月20日
Published Date 1959/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202237
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序説
既に40年前に発表された高橋研三氏の鼻内整形手術法が今日に到るまで日本の耳鼻咽喉科学界から認められなかつたのは何故であろうか。氏の所説が余りに独断的であり,非科学的であるとされていたのは一面無理からぬ処もある。私自身も人の噂と僅かな断片的事実とから今迄同じように感じていた。処が1957年の末高橋氏に直接逢つて精しく所説を聴き又手術を十数回見学した結果,その鼻内整形手術の理論も実際も決して単なる独断でなく,深い真理を含んでいる事を感じた。又同時に氏の歯に衣を着せぬ激しい言葉は84歳の高齢の現在でも私を驚かせたのであるから,元気旺盛であつた40年前の激しさが思いやられた。それ故当時氏の言論を聴いた人々が何よりも先ず反感を起したであろう事は充分に想像出来る。それに氏の所説は明快であるに拘わらず従来の鼻科学に相反する点があるので,これを納得するには余程虚心淡懐であり,未知の真理に鋭い感覚を持つていなければ困難である。先入主感から離れなければ理解出来ぬ態のものである。この二つの点から氏の所説が学界から容れられなかつたものであろうと思われる。
併しそれが如何に難解であろうとも真理を含んでいる以上これを一概に排斥せずに研究してみることが吾々学徒の責任であると思う。
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