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Dihydrostreptomycinの難聴発現性とその化学構造との関聯性について
志多 享
1
,
櫛田 秀雄
2
,
小西 輝三
3
1大阪鉄道病院耳鼻咽喉科
2科研薬化工研究室
3京都府立医科大学耳鼻咽喉科
pp.141-147
発行日 1959年2月20日
Published Date 1959/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202193
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まえがき
結核性疾患に対するStreptomycinの使用がDihydrostreptomycinの使用に転換されることによりストマイ難聴の発生が一層増加し,而もその予防及び治療が非常に困難な為に本難聴が社会的にも重大な問題として注目される様になつてから既に約10年を経過する。この間耳科学の分野に於て各種の方向からストマイ難聴の本態追究に関する努力が払われ,この結果Dihydrostreptomycin投与院時に見られる障碍は聴覚末梢器である蝸牛有毛細胞の変性に始まり次第に神経要素へと波及するretrograde ascending degenerationであることが明らかとなつてきた。
吾々も過去3年間聴覚電気生理学的並びに組織学的研究方法の下にDihydrostreptomycin投与時の聴器障碍の病態を検索し,ストマイ難聴は蝸牛有毛細胞障碍に基因するものであることを確認した。
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