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喉頭疾患の中で,特に器質的変化がないにもかかわらず,異常知覚等を主訴とするものは少なくない。而もその診断には屡々悩まされる疾息の一つである。本疾患の原因は種々あろうが,その中には所謂神経症の一症状として説明出来る場合が最近特に多いように思われる。貝田によれば,喉頭神経症は,第Ⅰ型感覚性障碍によるもの,第Ⅱ型運動障碍によるもの,の2型に分類出来ると言う。上記の如き臨床上屡々相遇する喉頭神経症は此の第1型即ち主観的な主訴を主とするもの,が大多数を占めて居り,第Ⅱ型に属するもの,即ち運動性障碍を示すものは稀なようである。此の運動性障碍を示すものは,更に痙攣型と麻痺型に分類出来ると言う。又,此れを主症状によつて分けると,神経性喘鳴,神経性咳嗽,神経性失声等に分類出来る。既に述べた如く,これらの疾患は,その例が少なく,殊にヒステリー性咳嗽に関してはその報告例は極めて少ない。最近著者等は,長時間持続し,而も規則的,律動的な乾燥性咳嗽を主訴として来院し,ヒステリー性咳嗽と診断された症例を経験したので此処に報告する。
Takakura and Takahashi report a case of persistent cobgh which the authors believe that it was due to hysterical state of the pa-tient. The cough was characterized by being rhythmic in occurrence and continuous. Exa-mination of the patient was made with tho-rough laboratory tests which proved to be invariably negative: hysterical state being the final conclusion. The patient recovered by means of psychoanalysis and suggestion.
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