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緒言
最近自律神経系の研究の発展に伴い,自律神経系に外科的侵襲を加える事,あるいは自律神経刺戟剤や遮断剤の投与の,各種疾患の治療に屡々有効である事が報告されている。我が耳鼻咽喉科領域においても,ピロカルピン,ワゴスチグミン,テブロン等が以上の目的で使用され,更に翼口蓋神経節や星状神経節のレ線照射療法や,プロカインによる星状神経節遮断療法が種々疾患に応用される等,この方面の研究は今後益々発展する事と思われる。
吾々は鼻腔副鼻腔に分布する鼻汁分泌促進神経と考えられている副交感神経を遮断したならば,鼻疾患時の鼻漏を減少せしめるのではないかと考えたが,従来の副交感神経麻痺或は刺戟剤,すなわちアトロピン,エフエドリン,アドレナリン等は副作用,作用持続時間等の点で到底該目的には使用出来ない。所が副作用が非常に少く,しかも主として副交感神経を強力に遮断するエチレミンを二三鼻疾患に使用した所,みるべき効果があつたので文献的考察を加えて報告する。
Terayama associates used ethylemin an agent which has an effect in holding the parasympathetic nerves in check for the purpose of stopping running nose in 29 cases. They found that in acute cases of nasal dis-charge the agent to be highly effective but, in chronic cases the resulis to be indefinite.
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