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緑色腫の1例
作道 皓
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1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.115-119
発行日 1958年2月20日
Published Date 1958/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201946
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緒言
緑色腫は1821年Allan Burnsにより眼球突出を伴う緑色腫瘍として発表され,King(1856)はChlorom(クロローム)と命名した。その後,Virchow,Huber,Wadstein,Recklinghausen,Dack,Türk,Sternberg,Naegeli等その他多くの学者に依つて検索の歩が進められ,本邦に於ても,林(1904),菅沼(1909)等の詳細な病理解剖的検索をはじめとし,白血病説,腫瘍説,折衷説と本症の本態は混沌としている中に,小児科,眼科,耳鼻咽喉科,血液病学等の領域に於て発表せられ,最近迄172例(本例を含む)を算えるに至つているが,今尚その本態をはじめ不明の点が多く今後の検索に待たなければならない事ばかりである。
本症の診断は勿論剖検,病理組織学的検査により確定さるべきものであるが,私は最近種々の事情により剖検は行い得なかつたが,臨床上緑色腫と確信し得る1症例を得たのでその臨床上の所見を報告し,考察を加えてみたいと思う。
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