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緒言
ハンド・シユラー・クリスチヤン病は,主として小児に起る比較的稀な疾患であつて,コレステリン系リポイドを含む細網内皮系細胞の異常増殖が主として骨系統を侵し,特に頭蓋骨附近に出来易く,レントゲン写真上,頭蓋骨の多発性欠損を示し,これと眼球突出,及び尿崩症を以つて3主徴とする疾患である。悪性腫瘍ではないが,臨床上良性とは言い得ず,仲々治癒し難く,組織学的には,所謂,泡沫状細胞の出現を特徴とする。1893年Handにより始めて記載されて以来,幾多の研究報告が為されて居り,又,耳鼻科的所見を呈するものも少くない様である。我国に於いても,耳鼻科領域からは数例1)2)3)4)5)の報告が見られるが,我々も亦,耳漏を以つて始まり,初期には,耳癤,中耳炎,乳突炎,肉腫等を考えて治療を施したが後に,眼球突出,尿崩症等を示すに至り,始めて本症なることを診断し得た1例を経験したので報告する。
Eda and associates report a case of Hand-Schuler-Christian syndrome that began with complaints of ear discharge. The patient was a girl infant, aged 2 years and 9 months, who suffered symptoms of geographical scalp, exophthalmos, diabetes insipidus, aural discharge, torticollis and disturbed ossification of the pelvic bone.
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