研究報告
蠅撲滅に對する一方法
不破 佐和子
1
1熊本女子大學保健體育學研究室
pp.219-221
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200955
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緒言
我が國には蠅によつて媒介される疾病が多數に存在しその病原體を含んでいる可能性の大きな屎尿その他の物が蠅の蝟集するまゝに放置されており,危險この上もない状態になつている。蠅は赤痢,コレラ,チフス,パラチフス等の消化器傳染病,結核化膿性疾患,癩,ペストヂフテリー等の傳染病,又蛔虫,十二指腸虫,肺ヂストマ等の寄生虫卵の媒介を行う。これら傳染病豫防對策の一つとしても蠅を驅除撲滅しなければならぬ。
蠅の驅除には成虫を殺す方法。卵,幼虫の時代に殺す方法。更にこれを發生せしめない樣にする方法の三つが考えられる。勿論第三の蠅を發生せしめない方法が根本的であり,又理想である。これを目標として行わねばならぬ。しかし乍らこの發生を抑制する事は實際問題として100%完全に行う事は出來ぬから第二の方法が併用され,更に第一の方法が補助的に用いられる。私は最近蛆の化學藥剤及び殺虫剤に對する抵抗と死滅するまでの状態及び時間を觀察する機會を得たので,以下その實驗成績の概括を報告し,蠅撲滅に對する一方法としたいと思う。
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