私の病院の試み
実施し易い病院資金管理の一方法
安田 幸男
1
1尼崎市樋口胃腸病院
pp.301-305
発行日 1958年4月1日
Published Date 1958/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201350
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資金管理の必要性
資金管理という言葉もその必要性も今更に新しく述べるまでもなく収益や費用の管理と共に一般企業においては積局的に実施されているのであります。然るに病院経理の管理に当つては従来ともすると収入と費用の管理のみが重視され経営循環の基本である資金の管理が軽視され勝でありました。経営成績向上の為には収入と費用が第一に着眼されるのは当然でありますがその収入も費用も結局に於いて資金の運用であり資金管理の必要性は些も変らないのであります。例えば損益計算は赤字であつても事業は或る期間は運転出来ますが資金の収支が赤字であれば一刻もその儘でも済まされません。殊に最近のように金融逼迫の時代には一層その重要性を増して来ましたし経営成績向上には資金運用法の如何も一役買つていることを考える時資金管理に対しては一層関心を持つ必要を感じます。一般企業に於いてはその重要性を痛感しながらも戦後経済条件が不安定であつた為,経営基礎が固まらず資金管理を効果的に企業に取り入れるのに非常に困難を伴つていましたが最近漸く一般化されるに到りました。然し病院経理に於いては他の企業に比し収支が割合安定しており本質的にも資金の大部分を固定させている地味で変動率の少ない事業であるに拘らず未だ資金管理に対する充分な関心がないのは理解に苦しむ所であります。
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