医学のあゆみ・35
トリコマイシン—かび症に効く新抗生剤
杉 靖三郞
pp.68
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909659
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ペニシリン,ストレプトマイシン,クロロマイセチン,オーレオマイシンなど,それぞれ特異な病原体に強力に作用する抗生剤がつくられて,病原体によつておこる病気の多くのものが治せるようになつたということは周知のとおり。病原体をその大きさの順に並べてみると,細菌を中心として大部分のものは,この抗生剤でやつつけられるようになったことがよくわかる。
しかし,一ばん小さな病原体であるビールス(インフルエンザ,ハシカ,脳炎,天然痘,小児マヒなどをおこすもの)と,一ばん大きな病原体に属するカビ—これを真菌という—に対しては,まだ特効的な抗生剤は発見されていなかつた。
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