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トリコマイシンの大量経口投与による泌尿性器真菌症の治験
石神 襄次
1
1大阪医科大学皮膚泌尿器科教室
pp.565-568
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201751
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I.緒言
各種抗生物質の普及と共に真菌性諸疾患特にカンジダ症の存在が極めて重要な問題となつている事は周知の事実である。泌尿性器疾患に於いても,抗生物質の使用によつて発生又は増悪した真菌性疾患に就いての報告が見られ,時には口腔其の他に続発して全身的に重篤なる症状迄惹起した2,3の症例も報皆されている1)2)。余は先にペニシリン及びストレプトマイシン投与によつて発生した尿路カンジダ症の例に就いて報告し3),次いで患者より分離せるカンジダ菌液による皮内反応及び生菌液の海猽に対する毒性等に就いて述べた4)。更に爾後経験した10例の尿路カンジダ症に対してトリコマイシン液による局所的治療を行い,全例に極めて有効なる結果を得た事を報告した5)。今回藤沢薬品よりトリコセイシンの高単位内服錠(1錠50,000単位含有腸溶錠)の提供をうけたので其の後来院せる同種患者6例に対し本剤の大量内服投与を行い,興味ある知見を得たのでここに報告する。
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