特集 耳鳴と眩暈
第1章 耳鳴
鼓室神経叢麻酔に就いて
椎津 淸彦
1
1慶応義塾医学部耳鼻咽喉科教室
pp.763-768
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201455
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耳鳴の成因については古くから多くの仮説が唱えられてをり,様々な見地から数多くの治療法が試みられ報告されて来たが,耳鳴の本態がなほ明らかにされず成因に広い幅のある事が推測されるままに,治療法にも普遍性のある,特効的なものは今以て発見されるに到つていない。
耳鳴の発現に与る因子を中耳腔内に求めての治療法は相当な数に上る。そのうちで内壁粘膜下に拡がる鼓室神経叢Plexus tympanicusを重視し,所謂末梢性耳鳴はこの神経叢の興奮に由来するとの考えから,これを直接対象に選んだ療法ではLempert及びTrowbridgeに依つて夫々提唱された方法が一応専門医家の目を惹いたものの様である。
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