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耳鼻咽喉科領域手術特に扁桃手術に於ける新止血剤Adonaの効果
大沢 林之助
1
,
中村 正彌
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.719-721
発行日 1955年12月20日
Published Date 1955/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201448
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Ⅰ.まえがき
耳鼻咽喉科領域は其の部位的関係から血管に富み而かも止血操作の困難な場合が多いので,出血に対する処置は,総ゆる耳鼻咽喉科医にとつて最大関心事の一つであると云つても過言ではない。
例えば耳鼻咽喉科領域に於ける手術は狭い手術野の深部で操作を行う場合が多く,而も止血し難い骨出血に遭遇する事が多いので,術中の出血を少しでも減少し得られゝばそれだけ手術操作は容易になるわけである。更に術後性或はその他の出血にしても,鼻腔では主としてガーゼタンポンによつて止血を行うが,如何にタンポンしても完全に止血し得ない場合もあり,又鼻咽腔,咽喉等に至つては副作用の多いベロツクタンポンを除いてはガーゼタンポンすら不可能である。従つて鼻腔,鼻咽腔,咽喉等に於ける出血に際しては局所止血法の外に止血剤の全身的投与を併用する事が屡々で,而も止血剤に多くの期待をかけなければならぬ事も稀ではない。
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