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身体障害者福祉法の改訂に就いて
岩田 逸夫
1
1名古屋第一赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.656-658
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201433
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身体障害者福祉法の実施を見て以来既に4年を経過したが,尚諸種の点に問題がある。
私は1昨年以来,耳鼻咽喉科学会(日本,近幾,東海)或は其他の機会ある毎に平衡機能が除外されている不合理の改訂を力説して来た。耳鼻咽喉科誌上にも,この点を強調し,颯田教授に御努力を御願いし,努力するとの御返事に期待していた。所が昭和28年12月難聴研究会からの諮問の際,試案には失張り,平衡器の事は一言も述べてないまま,私は改訂の際是非平衡機能障害を加うべきを,敢て颯田教授及び難聴研究会に申入れをした。所が12月末,颯田教授から,幾多の難関を排して,平衡機能障害を身体障害者に加うべく厚生省を納得させた由の御通知を頂き,感激措く能わざるものがあつた。かくて昭和29年3月31日の官報で改訂要項が共報され他科に比して,我耳鼻咽喉科関係に於ては聴力,平衡器,音声,言語についても新しい進歩的な面が多く見られる。今迄の言語機能障害の項が音声又は言語機能障害となり,聴力検査はオージオメーターによるか,語音明瞭度検査による様に規定され,且問題の平衡機能については,今迄聴力障害とされていた項が,聴覧又は平衡機能障害と改められた。之には難聴研究会の方々,特に颯田教授の並々ならぬ御骨折があつたことを厚く感謝の意を表する次第である。尚私の運動に対し御鞭撻,御助言を賜つた大藤教授,渡辺教授,後藤教授,福田教授にも誌上を借りて厚く御礼を述べたいと思う。
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