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はじめに
「身体障害者福祉法の一部を改正する法律」(昭和59年法律題63号)が8月2日,衆議院本会議で全会一致をもって可決,成立した.周知のとおり,第101国会には行革関連法案が目白押しに上程され,なかでも健康保険法改正案をめぐるかけひきが最大の関心事とされたため,年金関係法や電々公社改革法案が継続審議を懸念されるなど,際どい審議日程となった.これら重要法案審議の間隙を縫うように,我が改正法案は参議院先議(4月27日可決)とされていたのであった.
昭和59年度予算案の編成作業中には,改正法案の今国会提出が一時危ぶまれるなどの曲折もあったが,ともあれ懸案であった法改正が成立したのは関係者にとって慶賀すべきことにはちがいない.
一昨年3月の身体障害者福祉審議会答申「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」を受け,その後およそ2年にわたる事務的検討を経た結果の改正法案であり,前回の法改正以来12年ぶり,審議会への諮問(昭和54年3月)からでも5年目の法改正である.この間に国際障害者年を迎えたこともあって,関係者の期待には並々ならぬものがあったと言えよう.
法改正作業が進められる過程で,障害者関係団体等からは数々の意見が寄せられたが,なかでも,「完全参加と平等」の趣旨を法文上明らかにすること,身体障害者の範囲や等級の規定を抜本的に見直すこと,この機会に“身体”を超えた障害者福祉法にすべきこと,といった諸点についての要望が強かった.
しかしながら,これらの問題には身体障害者福祉法の立場だけでは処理しかねる事柄が少なくないため,結果的に法案に盛り込まれることになったのは大要6点(末尾の「身体障害者福祉法の一部を改正する法律案要綱」参照)である.
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