鏡下咡語
身体障害者福祉法改正の要点
鳥山 稔
1
1国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.652-655
発行日 1985年8月20日
Published Date 1985/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210004
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1.最近のWHOでの身体障害に関する概念
WHOではまず疾病diseaseがあって,これを不充分にまたは間違って治療を行って遺る形態異常,機能障害をimpairments①,それによって起きる能力の低下をdisabilities②,これら二つの理由から社会生活上不利になることをhandicaps③と概念の定義を行った(これをInternational Classification of Impairments, Disabilities,and Handicaps,別名ICIDHと省略している)。ただこの疾患のあとに遺る(consequence of disease)と考えるより,慢性疾患である循環器,呼吸器,腎疾患などでは病気そのものは治りきることは期待できないため病気と障害が共存する,すなわちconsequenceとは病気によってもたらされた障害と考えるべきであろう。病気と疾患,治療とリハビリテーションが共存することとなる。
さて能力の低下とは非常に大きく分けると,activities of daily life(ADL);日常の生活がどれだけできるか,これも障害の部位によってたとえば移動を指標とするのか,コミュニケーションを指標にするのか,その障害程度をどんな障害について判断するのかが問題になる。この能力低下の種類(程度ではない)を表1に示した。この中でわかりにくいことを説明すれば,①行動能力低下とは家族,職業の役割における能力低下,③個人ケアとは排泄,入浴,着服,食事の能力の低下を,⑤では家事動作,拾いとる動作の能力低下を,⑦では耐久力,気温耐性,照明,ストレスなどに対する能力低下をいう。
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