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口蓋に発生せる巨大なる唾液腺混合腫瘍の2症例に就いて
萩尾 千和
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.643-645
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201429
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緒言
口腔に発生する腫瘍の内で,所謂内皮細胞腫なる腫瘍は混合腫瘍として発現することが少なくなく,本邦文献を見るも所謂内皮腫として報告されたものが約80例,混合腫瘍として報告されたもの約27例である。特に其の組織構造が多種多様であつて,其の発生母組織並びに本態に関しては,今日尚病理学上極めて興味ある腫瘍として論議せられて居る腫瘍である。又臨床所見としては極めて緩慢に発育するのが常であつて初期は自覚症状も欠如し,或る程度の大きさに達して始めて発音,又は嚥下障害を起して来るもので一般に永い経過をとる事が多い。私は最近口蓋に発生した混合腫瘍の2症例を経験し,然も1例は全く口腔内を充満した60gに達する巨大なもので本邦文献に於いても稀有なるものに属するので文献に追加報告する次第である。
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