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序
頸部圧迫眼振として従来臨床上注目されているのは所謂MygindのFistelsyptomである。即ち外耳道圧迫眼振が頸部圧迫によつて,その眼振方向が反対になる場合で,半規管瘻孔の為の一つの症状と考えられている。然し半規管に瘻孔が無くて頸部圧迫眼振の発現する事は,既にNylenは瘻孔の無いものに於て外耳道圧迫眼振のほか頸部圧迫眼振の起ることを記載している。そして半規管瘻孔の有無に拘らずこの頸部圧迫によつておこる眼振及び外耳道圧迫眼振に与える変化を血管瘻孔症状と呼んでいる。Dederdingはメニエール氏病患者で外耳道圧迫眼振と頸部圧迫眼振の方向が夫々反対になる4症例を記載している。Stengerも2例の瘻孔のない外耳道圧迫眼振と頸部圧迫眼振症例を述べている。著者は穿孔性化膿性中耳炎32例,内耳機能障碍者38例に就て頸部圧迫眼振を実験した。その結果頸部圧迫眼振が発現するもの,自発眼振が頸部圧迫で変化するもの,外耳道圧迫によつて起る眼振が頸部圧迫によつて変化するもの計16例を認めた。即ち頸部圧迫眼振の発現は決して稀有の事でなく,かつ外耳道圧迫眼振との間に,内耳瘻孔の有無に関係なく,一定の関連性も観察されたので此処に実験成績の大要を述べる次第である。尚頸部圧迫はHering圧点Ⅱに相当する頸動脈の部分を指先で軽く圧迫した。
Takahashi states that the nystagmus elicited by pressure applied to the external canal or the neck including the cases that show signs of socalled Mygind's symptoms of fistula does not necessarily indicate that there is an inner earfistula. The author substantiates his arg-uments by presentation of 16 clinical cases in his favor.
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