特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅱ.めまい検査
1.眼振検査(注視眼振,頭位・頭位変換眼振)
下郡 博明
1
1山口大学医学部耳鼻咽喉科
pp.89-93
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101595
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Ⅰ はじめに
めまいは,日常臨床で比較的多く遭遇する症候である。夜間,早朝のめまい発作のため,時間外に急患受診するケースも多く,そのため耳鼻咽喉科以外の他科の医師が当直帯に診察に当たることもしばしばである。めまい患者の診察で問題となるのは,中枢性疾患によるものか末しょう性疾患によるものかの鑑別である。症状が軽くても中枢性疾患であれば生命予後に関係してくるものもある。このような背景から,めまいを訴える患者の診断のポイントを知ることは,各科間の隔たりなく多くの医師の望むところである。その意味では,診療所,総合病院といった施設を選ばず,どこででも行える注視眼振検査,頭位・頭位変換眼振検査は重要である。その理由として,これらの検査では回転刺激検査,温度刺激検査とは異なり,通常は眼振を認めない点にある。すなわち,眼振を認めることは何か疾患が存在していることを示唆しているのである。眼振検査でどこまで病巣診断ができるかについては,過去にもいろいろと報告がなされてきた1,2)。
本稿では,注視眼振検査,頭位眼振検査,頭位変換眼振検査について,方法,得られた所見に対する解釈について概説する。
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