--------------------
慢性副鼻腔炎の治癒に就て—Pneumatisations-Lehreより見て
後藤 敏郞
1
1長崎大学
pp.115-118
発行日 1955年3月20日
Published Date 1955/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201284
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
慢性副鼻腔炎の手術は我国に於ても既に半世紀に亘つて行われていながら手術によつて慢性副鼻腔炎が果して治り得るかどうかということに対しては論議の的からそらされていた感があつた。手術に依つて如何程の治癒率が見られるかということに就ても信ぜらるべき報告も見られなかつた。治癒の判定がこの場合には他の疾患と異つて極めて難しい為であるのみでなく手術的治療そのものに対して懐疑的な風潮が耳鼻科臨床家に底流をなして存在していたことは否定できないと思う。然し手術を行う以上その成果に就ては一定の意見を持つていなければならない筈である。それは臨床家としての良心上の問題であるのみではなくして鼻科学の進歩の上にも極めて重要なことであると思う。最近私のPn.-Lehre1)に照し合わせてみるとこの問題にも一つの説明ができたように思うので発表して諸見の批判を得たいと思うのである。
この論説の根拠になるものは私のPn.-Lehreであるが直接の資料は私が行つた慢性副鼻腔炎の再手術(47例,64側)の所見である。この各例に就ての詳しい所見は別に(慢性副鼻腔炎の再手術と副鼻腔の再生)の題目の下に原著として会報に発表する予定である。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.