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耳鳴に關する研究業績は甚だ寡く,その本態に就いては今日尚不明の域に屬すると云うも過言ではない。その原因は耳鳴の定義の不確實性,或は耳痴患との關聯の不分明,或は又病理的追求が殆んど未開拓状態である事等種々あるが,極言すれば現在では耳鳴本態究明の緒口さえ容易に見出し得ない状態である。
先に私は耳鳴を數値的に表現せんとして,純音を以て耳鳴を遮蔽しその遮蔽曲線中最下位を占める周波數を耳鳴構成周波數の主要なるものとして耳鳴の測定法を發表し耳鳴の聽力に及ぼす影響について言及した。その後耳鳴の型について興味をもち,型の分類と各種耳疾患との關聯性についていさゝか實驗したので報告する。從來耳鳴の分類としてはその高調性なるか,低調性なるかに依り高調性なるものは内耳疾患又は中枢性のものであり,低調性なるものは傳音系障碍に依ると云われていることは今更言うまでもない。更に又Fowl-erはVibrating. T.とNon-vibrating. T.に分けている。一般にVibrating. T.は筋音或は血管音等通常感じない音を感ずるものであり,感音系が感受して惹起する現象であるとしている。且つこれは一般に低い周波數によつて構成されるとしている。Non-Vibrating. T.は一名Biochemical. T.と云われ聽覺末梢器の機械的或は化學的刺戟に依るものであり大多數例に於て感受器自身或は中枢の障碍であると云つている。而してNon-Vibrat-ing. T.は多くの周波數の結合であるが一般に高い音であると。大和田氏等は1側耳鳴を種々の純音によつて遮蔽し,そのレベルと聽力の關係を検査し,遮蔽のレベルを被検者の最小可聽音を基準とした曲線を作ると,オーヂオグラムと平行的の關係を有する例が多く,遮蔽レベルは正常者を規準とすると各周波數に於て略一定し60〜80dbの間にあり,この型は聽覺末梢器或は神經障碍による耳鳴即ちNon-Vibrating. T.に相當すると云い,他の型は聽力損失は輕度で耳鳴遮蔽には低昔では大きなレベルを要するが,高音に移るに從つて急激にレベルが下る例で耳鳴に含まれる周波數の範圍が狹く,且つ耳鳴のレベルも低く,一般に中耳疾患に多く,Vibrating. T.に相當するであろうと結論された。Atkinsonはmtrinsic. T.とextri-nsic. T.とに分けHegenerやKoblakはNon-vibrating. T.は聽神經の退行變性の存在することを指摘している。扨て以上のVibrating. T. Non-vibrating. T.の分類については,その根據について何らの記載がみられず恐らく或る短時間に於る患者の訴えに依つたものと考えられるが私はma-skingの際現れる現象を詳細に究明し一つの分類法を確立したので報告する次第である。
MIZUOCHI classifies tinnitus aurium into 3 distinct tpyes by studying graphic records made by use of damping method. The first and second types are characterized by wave-like or intermittent noises caused by conduction dis-turbances that correspond to Fowler's vibrating tinnitus. The third type is caused by percep-tion disturbances which according to Fowler is non-vibrating tinnitus.
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