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耳だれ不動尊
pp.660
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200986
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近江國栗太郡大石村に耳だれ不動と稱する不動尊がある。耳病の者が參拜すれば忽ち治るということである。寺は荒廢して數丈の巨岩に四佛を彫刻したものが介散するのみである。栗太郡誌を見ると,「本尊の耳孔より一種の鑛水が流出して淡紅色をなす,是れ耳垂れ不動の稱ある所なれども,不動尊の像には,耳垂の痕跡なく,本尊のみなればむしろ耳垂阿彌陀と稱すべきものなり」とある。
寃は即ち寃であるが,之れをもつて參詣者は絶えないとすれば,本尊の功を傍からうばつたものといえようか。
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