綜説
トラコーマの分類法に就て
赤木 五郞
1
1岡山大學醫學部眼科
pp.381-385
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201556
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トラコーマの分類に就ては昔から種々の見地の下に色々の分類法が工夫され國を異にするに從い或は又同じ國内でも研究者に依り各種各樣の分類法が採用されている。從つてトラコーマの罹患率や其の病状に就て彼我を比較する場合甚だしく困難を感ずる。殊に最近各地で行れている新抗生物質の效果などを比較對照する場合極めて不便である事は誰しも經驗されることゝ思う。
譬えば我國の分類法に就て見ても内務省分類庄司氏分類石原氏分類中村氏分類三井氏分類等々其の代表的なものだけでも十指を屈しても尚餘る程である。此等分類法は各々夫々の見地或は根據の上に立つてはいるが,然し乍ら其の何れもがトラコーマの時期,病状或は臨床症状乃至感染の危険度等を餘す處無く表現し得ているとは云い難い。又世界各國の代表的なものに就て見てもMac. Callanの分類法Natafの分類法等は餘りに簡に過ぎ,又今回W.H.O (World HearlthOrganisation)に於て採用された新分類法は煩にして到底集團検診の際に實際之を使用する事は困難である。そこで私は今回採用を見たW.H.Oの新分類法を紹介し併せて先人の主なる分類法に就て若干の批評を試みると共に,私が此等各種分類法の長所を採り入れて集團検診の際最も適當と愚考する一分類法を紹介し,大方の御批判を仰ぎ更に検討を得て今後のトラコーマ統計に際し劃一的分類法を樹立したいと念願して茲に發表する次第である。
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