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耳鳴と眩暈を主訴としたヒステリーの1例
志多 享
1
1京都府立醫科大學耳鼻咽喉科學教室
pp.331-334
発行日 1953年7月20日
Published Date 1953/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200926
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耳鼻科臨床に於て,耳鳴は日常最も屡々遭遇する症状の1つであると同時に,又その原因の解明に最も悩まされるものと言うことが出來る。凡そJachobsonに依れば,耳鳴は個人の身體外から來る音響刺戟を除外して迷路内又は聽神經中枢,聽神經終末器官の非聽覺的刺戟に依り起る雑音(自覺的耳鳴)と中耳及びその周圍に於て,個人の體内に發生する雑音(他覺的耳鳴)の總稱であると定義されているものの,耳鳴の原因は實に廣範圍に渉り,その原因的診斷に迷わされる事が多い。
就中,自覺的耳鳴は,患者自身の訴に頼らねばならない關係上,耳鳴の原因が耳鼻科領域の病變にあるとは限らず,廣く他科領域の疾患に基く場合が多々ある事を考え併す時,耳鳴の原疾患診斷には特に慎重でなければならない。最近,自覺的耳鳴を主訴とした患者で,その診斷に困難を來した症例を觀察する機會を得たので,此所にその1例を報告したいと思う。
SHIDA concludes that compliants of tinni-tus and vertigo made by a woman aged 23 were that of symptomatic manifestations of hysteria. Objective search for the cause in the organs of hearing and cerebral nerves all proved to be negative. The diagnosis of hysteria was derived at as the result of psychoanalysis.
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