特集 耳鳴と眩暈
第1章 耳鳴
文学と耳鳴,眩暈
西端 驥一
1
1慶応大学
pp.796-802
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201459
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この項目で某氏に原稿を依頼したが断わられた。それで仕方がないから倉田百三氏の絶対的生活にある一部を御紹介する事にした。これは倉田氏自身の体験を述べたものであるが流石文学者だけあつて之に関する悩みの深刻さが実によく書けている。そればかりでなく倉田氏の心境は森田正馬博士の神経質療法を辿つたもので深い思索が背景になつているので吾々には訓えられる処が多く興味がある。
此の章の少し前に不眠を治した体験が書いてあるが,それは偶然私の経験と全く同じで驚いた。あらゆる治療法に絶望した日から眠れるようになつたのである。即ち「計らい」のある間はいかんので絶望と云う絶対的の境地から救いが生れるのであろう。
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